今話題の恵那市岩村町「ふくろう商店街」。
観光客の喧騒から車で5分程、国道363号添いに見つけた「岩村茶寮」の看板。
小道をゆっくり直進すると。
木立の中に佇む端正な喫茶店が見えてくる。
駐車場に車を停めて、お店へ。
古民家風な建物に、期待が高まる。
ドアを開けると、いきなりマスターの姿。
「おや。いらっしゃいませ!今ね、レコードをかけてるんですよ。古いもんだからコツがいるんだよね。お好きなテーブルにどうぞ!」と人懐っこい笑顔で迎えてくださる。
カウンター席と、広々としたテーブル席。
「今日は天気が悪いから、申し訳ないね。晴れていると恵那の山並みがくっきり見えるんんだけどね」とマスター。
続いて優しそうな奥様が「いらっしゃいませ」とお水とおしぼりを出してくださった。
もうこの空気感だけで、いいお店って分かる。
「ちょうど今、ランチのお客様が一段落したところですので、ゆっくりくつろいで行ってくださいね」と奥様。
こういう一言が、流行りのカフェとは違う魅力よね。
テーブルに置かれた骨董の墨引きも、この空間によく合う。
なつかしいメニュー表を眺めつつ、のんびりコーヒーが飲みたい気分。カウンターにドリップの用意があったしね。
オーダーを済ませ、店内を拝見させて頂く。
木戸で個室に仕切れるスペースも。
空間にリズムをもたらすこだわりのインテリア。
天皇陛下と皇后美智子様のご成婚記念のお皿?
レコードから流れるレトロなメロディーと調和して、なんとも居心地がいい。
あらら?脱サラして、このお店を始められたのね。
岐阜新聞には、若かりし頃のマスターご夫妻の姿が載っている。
仲睦まじい様子は、ずっと変わらない。
テーブルに戻ると、奥様が運んできてくださった。
密かに入店した時から、カウンター奥に並ぶ多彩なコーヒーカップを見て、「どれを出して頂けるのだろ?」と楽しみしていた私。
とっても上品なラスター彩のコーヒーカップに、なんだか嬉しい気分。大人の女性に見えたかしら?
仕事やら子育てやらで、バタバタ余裕のない毎日を送っているけど。身体がホッとほどけていく気がする。
はぁー。いい香り。まろやかな苦み。
マスターが出て見えたので、「まろやかで優しい味ですね」と言うと、「そう言ってもらえると嬉しいねぇ」とにっこり。
「少しすると予約のお客さんが見えるけど、ゆっくりしてていいからね」と、まるで馴染みのお店にお邪魔しているような快適さ。
何気なくメニューをパラパラめくる。
晴れた日に、恵那山の眺望を楽しみながら、ここでモーニングを頂けたら最高だろうなぁ。
むむ。スパゲッティー…気になるなぁ。
「もうランチは終わっちゃいました?」と聞くと、「お客さんが食べたいとおっしゃるなら…きっかり時間は決まっていませんので、大丈夫ですよ」と奥様。
食べるつもりはなかったのだけど、なんとなく小腹が減った気がする。
「きのこスパゲッティーをお願いしたいんですけど…」と言うと、「はいはーい」と軽快に奥へ。
へへへ。せっかくステキなコーヒーカップをサーブして頂いたのに、食いしん坊がバレちゃうなぁ。
サラダもたっぷり!
きのこの香りとバターしょうゆが利いた、ちょっと太麺のパスタ。
懐かしい昭和のレストランで頂いたような、しっかりした味わい。
ふふふ。注文して良かった!
もくもくと食べてしまって、「すごいお腹すいてたの?」って思われちゃったかも…?
お会計伝票を見ると、さっきのコーヒーはランチの飲み物になってた。感謝。
食後、ご夫妻としばし歓談。脱サラする前は消防署にお勤めだったことなど、おふたりの笑顔につられて話が弾む。
「ついつい長居しちゃったなぁ」と思いかけた瞬間、奥様が「先にコーヒーを召し上がっちゃったでしょ?もし良かったら…」とアップルジュースを出してくださった。
ちょうど喉が乾き始めたので、「いいのかなぁ…」と思いつつお言葉に甘えてしまいました。
恵那には有名店も多いけど、また来たい。
おいしいコーヒーも、懐かしい味のスパゲッティーも魅力だけど。
マスター夫妻に会いに来るだけでも、価値があるね。
ごちそうさまでした!
店 名:岩村茶寮
住 所:岐阜県恵那市岩村町富田864−18
電 話:0573-43-3977
営業時間:9:00~17:00
定休日 :月・火曜日定休
駐車場 :有り